フランクリン文庫

古典文献のリプリントで知られるバート・フランクリン(1903-1972年)の個人コレクション。コレクションは、図書約7,000冊、パンフレット類約9,000点、マニュスクリプト約600点からなっている。図書の中にはインキュナブラが含まれ、クレチェンチの『農業便宜論』(1471年)やアウグスティヌスの『神の国』(1489年)などがある。図書は、フランス、イギリスの経済学・社会思想関係の古典が中心で、ゴールドスミス、クレスライブラリーに所蔵されていない文献が数多くある。特にティレルの『パトリアルカ・ノン・モナルカ』(1681年)やエルヴェシウス『精神論』(1758年)に合冊された『精神論』に関する当時の資料などは稀覯な文献である。

パンフレット類は、フランス、イギリス関係のものが主で、特にその大半を占めるのはフランス革命(1789年)前後の法令等のパンフレットである。

マニュスクリプト類の中には、13世紀の南仏ラングドックの土地賃貸契約書にはじまって、マグナカルタの写本2点(14世紀)、メディチ家の帳簿、チュルゴーの筆跡のある手紙、フーリエ、エティエンヌ・カベー、J.B.セーの手紙などが含まれている。なかでもフランスのロブリエール家のコレクション(14~18世紀)27冊は体系的なもので、中世の封建諸侯の歴史を研究する上での重要な史料と考えられる。

フランクリン文庫収録資料の一部は、HERMES-IR (一橋大学機関リポジトリ)を通じて全文閲覧できます。

文献

マグナ・カルタ

Magna Carta and other statutes
(Franklin:18051 MS.3)

マグナカルタ
マグナカルタ
マグナカルタ

出版事項

[Magna Carta and other statutes, to 18 Edward I, charters of liberties, and law-tracts. s.l., ca. 1300]
出版年 [ca. 1300]
形 態 [269] p. (26 lines) : vellum ; 22 cm
注記事項 Title from printed catalogue
Gatherings chiefly of 10 leaves, with catchwords
Initials flourished in red and blue; headings, etc. in red
Original binding of oak boards
Bibliographical description in typescript pasted on the first leaf
Accompanied by table of contents, manuscript note on binding and bibliographical description on another Magna Carta
Contents: Magna Carta Regis Henrici omnium Libertatum, Carta de libertatibus Foreste, Statuta de Merton, Statuta Marlebergie edita, Prima statuta Regis Edwardi apud Westmonasterium edita, Statuta apud Gloucestriam edita, Prouisiones Westmonasterienses, Statuta domini Edwardi Regis apud Westmonasterium, Extracts from statutes of penalties for offences, Statuta domini Edwardi Regis Auglie apud Glouerniam, Statuta abreuiata, Narracio in breuibus, De breui de quo Waranto, De empcionibus et uendicionibus terrarum et tenementorum, Placita episcopo Norwicensi par dominum Regem concessa, De homagio et fidelitate facienda, Quia Emptores, Summa de Hengham, Summa Fet asauer, Summa de essoniis iudicandis, De essoniis calumpniandis, De assisa panis et ceruisie et ponderis panis, De ponderibus
本文言語 ラテン語,フランス語

解説文

フランクリン文庫に含まれる600点近いマニュスクリプトのうちで、年代的にもっとも古いものの一つが、この「マグナカルタ写本」である。13世紀初頭、イギリス国王ジョンはフランス国王フィリップ2世にヨーロッパ大陸での領土のほとんどを奪われた上、頻繁な課税と軍役の要求によって貴族の不評を買っており、1215年6月に貴族が起草したマグナカルタへの署名を強制された。これは前文と63条の規定からなり、国王と貴族の封建的主従関係における相互の権利・義務を定めたものであって、「国王も法の下にある」という原則を打ち立てた文書として重要である。次のヘンリ3世、エドワード1世の時代にしばしば国王と貴族の紛糾の元になり、修正や再確認の文書がたびたび作られた。センター所蔵のものは、1300年頃に複写されたもので、それらの文書を全部で136葉の羊皮紙にゴチック体の小文字で記している(最初の5葉がマグナカルタ)。縦21cm、横15cmほどの羊皮紙を、厚さ6mmほどのオーク材でバインドした装丁が特徴的である。

メディチ家帳簿

Debit and credit account book
(Franklin:18148 MS.74)

メディチ家帳簿
メディチ家帳簿
メディチ家帳簿

出版事項

[Debit and credit account book, 1471-1472]
出版年 1471-1472
形 態 70 leaves ; 22 cm
注記事項 Title from printed catalogue
Leaves 26v-47v, 61v-63v, and 65v-70v are blank
Accompanied by photocopy of auction catalogue of Medici manuscripts, and bibliographical notes in English and Japanese
[Franklin:18148] MS-74
著者標目 Medici, Francesco di Giuliano di Giovenco, 1450-1528
本文言語 イタリア語

解説文

フィレンツェの大商人であるメディチ家が用いた帳簿。1471年から翌72年まで(ただし当時の1月1日は現在の3月25日だった)の記録が記載されている。1490年以降の帳簿はアメリカのハーヴァード大学に所蔵されているが、それ以前のものは散逸しており、フランクリン文庫のものはその1冊であると推定される。この帳簿がつけられた頃、フィレンツェではメディチ家のロレンツォが17歳で国家の指導的地位につき(1469年)、ボティチェリやレオナルド・ダ・ヴィンチを保護して、イタリア・ルネサンスの最盛期を生み出す。この帳簿をつけたのは傍系のフランチェスコ(1450-1528)である。見開きの右側のページに通し番号がふられているが、冒頭から26番までは金融業務で、借り手とその返済が左右に対称に記されており、当時の名家の名も見られる。48番から61番が毛織物取引の帳簿となっている。羊皮紙のカバーがつけられている。

参考

フランス王室公文書

[Retenüe de chapellier de la garderobbe pour Jacques Poysat, Versailles, 1680]
( Franklin:18332 MS.255)

フランス王室公文書

出版事項

[Retenüe de chapellier de la garderobbe pour Jacques Poysat, Versailles, 1680]
出版年 1680
形 態 [2] p. : vellum ; 26 x 52 cm
注記事項 Signed “Louis," and countersigned, “Colbert."
Accompanied by manuscript notes
[Franklin:18332] MS-255
著者標目 France. Sovereign (1643-1715 : Louis XIV)
本文言語 フランス語

解説文

フランス国王ルイ14世が王室衣装係の帽子担当者ジャック・ポワサに与えた「官職保証書」。1688年4月7日の日付が入っている。アンシアン=レジーム下のフランスにおいてはかなりの数の官職が「売官制」によっていた。すなわち官職につきたい者は金を払って官位を購入するのであり、一旦購入された官職は、一族の財産として、世襲的に相続されることになった。相続者がいない場合、その官位は形式的に国王の元に戻るが、次の購入者が以前の所有者にしかるべき金額を払うことを国王が保証するのが「官職保証書」である。羊皮紙に記入されており、国王ルイ14世のサインと財務総監コルベールの副署(国王のサインが真正であることを保証するサイン)がある。

ロブリエール家文書

[Archives of the Marquisate of Laubrières]
Franklin:18066~18091 MS.17)

ロブリエール家文書
ロブリエール家文書
ロブリエール家文書

デジタル・ライブラリー

Digital Library of the Archives of the Marquisate of Laubrières

出版事項

[Archives of the Marquisate of Laubrières]
出版年 1372-1780
形 態 27 v. ; 27-46 cm
注記事項 Title from printed catalogue
The arcives, which consist largely of the original documents, bound into volumes, are divided into two groups: The fief and seigneurie of La Saullaye and the Châtellenie of Beuzon. The following volumes of the fief and seigneurie of La Saullaye are present: Registre des assises et remembrances, v. 1-4 (1494-1713); plus index volume. [17-17.4] Registre des cens et devoirs dûs au fief, v. 1-3; plus index volume. [17.5-17.8] Registre des contracts d’acquets faits dans l’étenduë du fief, v. 1-2 (1372-1734). [17.9-17.10] Registre des declarations renduës au fief, v. 2-3, 5-10(1506-1686); plus index volume. (Vols. 1, 4 and 11 lacking) [17.11-17.19] Registre des assises, 1724-1725 (38 p.); Registre des declarations, 1724-1725 (42 p.); Registre des assises, 1777-1780 (133 p.), in 1 v. [17.20]. The following volumes of the Châtellenie of Beuzon are present: Registre des assises, v. 3 (1539-1602) and v. 5 (1678). [17.21-17.22] (Vols. 1-2 and 4 are lacking) Registre des contracts d’acquets faits dans l’étendue de la Châtellenie, v. 2 (1580-1732). [17.23] (Vol. 1 lacking) Registre des declarations reduës à la Châtellenie, v. 2-3 (1617-1709). [17.24-17.25] (Vol. 1 lacking) Table alphabetique des noms de ceux dont les declarations reduës à la Châtellenie de la Beuzon … Mis par ordre, 1732. [17.26] (Also contains indexes to the Registres des assises and to other Registres which are lacking)
Compiled in 1728-1737
著者標目 Laubrières, Marquisate of
本文言語 フランス語

解説文

フランス西部に存在したロブリエール侯爵領の所領経営の歴史を伝える文書。原本である文書が綴じられ、製本されており、1372年から1780年までの文書が全部で27冊に収められている。ロブリエール侯爵領を構成する所領群の一部である、ラ・ソレイの所領に関するものとブゾンの城管区に関わるものが含まれている。領主裁判の記録、サンスなど領民への賦課の取立て台帳、封地の移転・管理に関する台帳、領主布告の記録など、封建領主の所領管理に関わる一次史料がまとめられている。完全にそろっていれば36冊になるはずで、9冊の欠落があるが、それでも中世後期からアンシアン=レジーム末期までの地方貴族の所領管理の記録がこれだけ大量にまとまっていることは珍しく、経済史・社会史の研究に関する貴重な史料である。

参考

ルソー『人間不平等起源論』

Discours sur l’origine et les fondemens de l’inegalite parmi les hommes
(Franklin:1834, Franklin:1835)

ルソー『人間不平等起源論』
ルソー『人間不平等起源論』

出版事項

Discours sur l’origine et les fondemens de l’inegalité parmi les hommes / par Jean Jaques Rousseau citoyen de Genève
出版者 A Amsterdam : Chez Marc Michel Rey
出版年 1755
形 態 LXX, [2], 262, [2] p., [1] leaf of plates : ill. ; 21 cm
注記事項 Title in red and black
Errata: p. [263]
Errors in paging: LXV numbered XLV
Dufour no. 55(variant)
[Franklin:1834] With this is bound: Examen critique de la seconde partie de la Confession de foi du vicaire savoyard / par M. A.J.R. A Londres : [s.n.] , 1776
著者標目 Rousseau, Jean-Jacques, 1712-1778
本文言語 フランス語
(出版事項はFranklin 1834(真正版)のもの)

解説文

フランスの啓蒙思想家ジャン=ジャック・ルソーの主著のひとつ。古代ギリシア以来、人間は生まれながらに社会的であると考えるのが一般的であったが、ルソーは人間は自然状態においては孤立していると主張した。彼の意図は、当時の不平等な文明社会の政治や文化、人の生き方を強烈に批判することにあったが、同時に、社会は自然的ではなく、人為的なものだという主張は、不平等などの社会問題は人間が自分で作り出したものだから、自分で解決せねばならないという考えにつながり、後の政治論である『社会契約論』が生まれることになる。Franklin 1834はタイトルページの二つの挿絵があり、真正版。本文11ページの下から3行目「conformé」という単語のアクサンが誤植で脱落し、版元によって手書きで書き加えられている。Franklin 1835は偽版で、挿絵左下のサインがなく、右ページの挿絵がひとまわり小さい。

モンテスキュー『法の精神』

De l’esprit des loix, ou, Du rapport que …
(Franklin:1432、 Franklin:1433)

モンテスキュー『法の精神』
モンテスキュー『法の精神』

出版事項

De l’esprit des loix, ou, Du rapport que les loix doivent avoir avec la constitution de chaque gouvernement, les moeurs, le climat, la religion, le commerce, &c., a quoi l’auteur a ajoute des recherches nouvelles sur les loix romaines touchant les successions, sur les loix francoises & sur les loix feodales
出版者 A Geneve : Chez Barillot & fils
出版年 [1748]
形 態 2 v. ; 26 cm
注記事項 Imprint. Cf. Tchemerzine
Errata at end of t. 1er
著者標目 Montesquieu, Charles de Secondat, baron de, 1689-1755
本文言語 フランス語

解説文

世界各国各時代のさまざまな法律政治体制を比較しつつ、法律の背後にある法の精神を探求したモンテスキューの主著。有名な権力分立論は、イギリスの制度のところで論じられている。国内外で賞賛された一方、宗教の取り扱いをめぐっては批判を受け、1751年にローマ教会より禁書指定された。本書は、出版後直ちに国内外で高い評判をとり、フランスにおいても刊行地名を外国にしておくことを条件に国内での印刷が黙認された。1750年1月にモンテスキューが知人に宛てた書簡によれば、本書初版の刊行(1748年11月)から1年有余の間に、全ヨーロッパで22種類の版本が流布していたという。本書はそうした偽版の一つ。オリジナル初版であれば、タイトルページ下方の出版社が「Barrillot」とあるべきところなのに「Barillot」となっており「r」が1つしかない。1749年にパリで印刷されたものといわれている。

Augustine, De civitate dei

De civitate dei
(Franklin:18702)

Augustine, De civitate dei

出版事項

De civitate dei. Comm: Thomas Waleys and Nicolaus Trivet
出版者 Venice : [Bonetus Locatellus], for Octavianus Scotus
出版年 18 Feb. 1489/90
形 態 [512] p. : ill. ; 31 cm
他の書名 OH:Augustinus de ciuitate dei cum commento
注記事項 Title and imprint from ISTC
Leaf 1 recto: Augustinus de ciuitate dei cum commento
References: HC2065; BMCV 437; GW 2889; ISTC ia01245000; Yukishima, IJL2 047
[Franklin:18702] Inc.5
著者標目 Augustine, Saint, Bishop of Hippo, 354-430
本文言語 ラテン語

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Crescenzi, Ruralia commoda

Ruralia commoda
(Franklin:18705)

Crescenzi, Ruralia commoda

出版事項

Ruralia commoda
出版者 [Augsburg] : Johann Schussler
出版年 about 16 Feb. 1471
形 態 [212] leaves ; 30 cm. (folio)
注記事項 Title and imprint from ISTC
The colophon reads: circit xiiij. Kalendas marcias
References: HC *5828; BMC II 328; GW 7820; ISTC ic00965000; Yukishima, IJL2 143
The last 3 leaves blank
[Franklin:18705] Burt Franklin’s copy imperfect: the last leaf wanting
[Franklin:18705] Inc.8
著者標目 Crescenzi, Pietro de’, ca. 1233-ca. 1320
本文言語 ラテン語

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